【要約・解説】世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?(山口周)

書籍解説

“サイエンス重視ではビジネスの舵取りができない

こんにちは、ゆーちんです!

今回は、山口周さんが書かれた一冊、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』について、解説していきます。

本記事を読んでいただくことで書籍のタイトルの通り、「世界のエリートがなぜ美意識を鍛えるのか?」について、ばっちりご理解いただけます!

ぜひ最後までお楽しみください!

本書で押さえていただきたいポイント

  • 論理的・理性的アプローチの限界
  • 世界市場における自己実現欲求の進行
  • 主観的な内部のモノサシを持つ

なぜ美意識を鍛えるのか?

今回も結論からです。

世界のエリートが美意識を鍛えている理由、それは、

サイエンス重視の意思決定では、複雑で不安定な世界において、ビジネスを舵取りすることができないと考えているからです。

そして、筆者がサイエンス重視ではビジネスの舵取りができないと考える理由は、次の3点です。

  1. 論理的・理性的な情報処理スキルの限界が来ているから
  2. 世界が自己実現的消費へと向かいつつあるから
  3. システムの変化にルール制定が追いつかないから

まだ、よくわからないと思いますので、順を追って解説していきます。

美意識とは何なのか?

と、ここで、なぜ美意識を鍛えるのか?を考える前に、そもそも美意識とは何なのか?について、明確にしておきましょう。

美意識とは、多くの活動に使われる言葉となりますが、本書で度々出てくる美意識は、経営における美意識という認識を持っていただければと思います。

そして、筆者曰く、経営における美意識とは、様々な企業活動の側面における「良い」「悪い」を判断するための認識基準となります。

例として、次のような企業活動における認識基準があげられます。

  • ステークホルダーをワクワクさせるビジョンをつくる
  • 道徳や倫理に基づき、自分たちの行動を律する
  • 自社の強みや弱みに整合する、合理的で効果的な経営戦略を構築する
  • 顧客を魅了するマーケティング、商品開発を行う

上記のような企業活動は、なかなか論理的にシロクロをつけるのが難しいです。

経営において、数値で測定できないもの、論理でシロクロつかないものを判断するための認識基準が美意識だというわけですね。

論理的・理性的な情報処理スキルの限界

そもそも「美意識とは何なのか?」について、見てきたところで、「エリートはなぜ美意識を鍛えるのか?」という本題に戻りましょう。

冒頭で、エリートが美意識を鍛える理由は、サイエンス重視ではビジネスの舵取りができないと考えているからとお伝えさせていただきました。

そして、サイエンス重視ではビジネスの舵取りができないと考える3つの理由のうち、1つ目が論理的・理性的な情報処理スキルの限界がきているからともお伝えさせていただきました。

一見、ビジネスで最も重視されがちな論理的・理性的な考え方について、筆者が限界が来ていると考える理由は何なのでしょうか?

理由は次の2点です。

  1. スピード感が足りない

    VISION DRIVENでも取り上げましたが、現代の経営を取り巻く環境はVUCA(Volatility、Uncertainty、Complexity、Ambiguity)とも呼ばれており、全く予測不能となっております。

    そんなVUCAの時代では、問題を構成する因子があまりにも多く、分析的・論理的なアプローチはもはや不可能となっているというのが筆者の主張です。

    論理的・理性的にシロクロがつかない問題に対して、サイエンス重視のアプローチを取ることは、経営における意思決定の膠着とビジネスの停滞を招き、膨大な時間を消費するということです。

  2. 正解のコモディティ化が進行

    正しく論理的に・理性的に情報処理をするということは、他人と同じ正解を出すということに他なりません。

    これは差別化の消失に繋がります

    差別化要素がない土俵で勝つには、スピードとコストで勝るしかありません。

    かつての日本はスピードに強みがあったのでそれでも戦えていましたが、それすらなくなった今、差別化で戦わざるを得ない状況に追い込まれていると言えます。

このように論理的・理性的なアプローチでは、①意思決定に時間がかかりスピード感が足りない、②正解がコモディティ化するという2つの理由により、限界が来ていると考えられるわけです。

自己実現欲求の市場

サイエンス重視ではビジネスの舵取りができないと考える理由2つ目が、世界が自己実現的消費へと向かいつつあるという点です。

自己実現欲求に向かう?一体、何の話だ?って感じですね笑。

これは、世界的に欲求のレベルが高度化しているということです。

マズローの欲求5段階説によると、人間の欲求は5段階に分けられ、「生理的欲求→安全の欲求→社会的欲求→承認欲求→自己実現の欲求」の順にどんどん欲求レベルが高度化していきます。

そして、今の世の中は豊かさが広まったことにより、低次の欲求は満たされ、世界の欲求のレベルは自己実現へ到達したというわけです。

このような市場では、人の承認欲求、自己実現欲求を刺激するような感性や美意識が求められます

実際に機能面での差異はほとんどなくなってきていると感じませんか?

そういう機能面よりも、デザインや質感で自己を表現するという側面が重視されるようになっているのです。

例えば、今のスマートフォンを見ても、機能面での差異はほとんどなくなってきていると思います。

それでも、アップル製品が根強い支持を受けているのは、「アップル製品を使っている私」という自己実現欲求を満たしてくれるからと考えられるわけです。

筆者は、このような市場の流れは、日本にとって好機であると言います。

なぜなら、美意識という面で、日本は世界最高水準だからです。

世界が巨大な自己実現欲求の市場となれば、世界的に形成された「日本=美意識の国」というイメージは大きな武器となるというわけです。

世界の変化にルール制定が追いつかない

サイエンス重視ではビジネスの舵取りができないと考える理由3つ目が、世界の変化にルール制定が追いつかないという点です。

これは、自動運転やAI、ドローンなど急速に発展しているテクノロジーに対して、ルールの整備が追いつかず、後追いとなってしまっているということです。

明文化されたルールや法律がないからといって、企業は好き勝手して良い訳ではありません。

こういった状況下でグレーゾーンな行動を取ってしまう企業もこれまで何社かありましたが、こうした企業は長期的には長続きしてきませんでした。

外部の法律やルールだけを拠り所にしていると、ルールがない時に対応できません。

外部の法律やルールがない状況下においても、道徳や倫理に基づき、自分たちを律する自分なりのモノサシ(美意識)を持つことが今の企業には求められているのです。

最後に

いかがだったでしょうか?

先週、『VISION DRIVEN』の解説記事をUpさせていただきましたが、内容が少し似ており、両筆者は、同じ危機感を抱いているように感じました。

VUCAの時代において、これまでの論理的なアプローチに限界が来ており、変化に右往左往と流されない自分なりのモノサシを軸にビジネスをドライブしていくことが求められるという点は、まさに同じだと感じました。

しかし、美意識やビジョンだけが重要であるとは言っていないという点にも注目すべきだと思います。

やはり、ビジネスをする上では、論理的なアプローチを取ることも重要であり、両者のバランスが重要だというスタンスを取っております。

今回の解説では省略させていただきましたが、本書では、論理的なアプローチと美意識のバランスの取り方、そして、我々がどのように美意識を鍛えれば良いのかについて、詳しく記載しております。

また、本の構成としては、最初に結論が明確に示されており、後半にかけて、その補足をしていくといった形で非常に論理的で読みやすいです。

論理的であることも重視している(というかめちゃめちゃロジカルな方と感じました笑)著者・山口周さん他の書籍も読んでみたいなと感じました。

非常に読みやすくておすすめの本ですので、気になる方はぜひ本書を手にとって読んでいただければと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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