AIで作った資料が“AIっぽい”問題。会社テンプレートに流し込む仕組みを作ってみた

ビジネス

こんにちは、メーカー勤務アメリカ駐在員のゆーちんです。

今日はちょっと、AIを使った資料作成について語らせてください。

最近は、AIを使えばPowerPoint資料もかなり作れるようになってきました。構成案を考えてもらったり、スライドごとの見出しを作ってもらったり、図解のアイデアを出してもらったり。正直、かなり便利です。

ただ、その一方でずっと気になっていたことがありました。

それは、AIで作った資料って、なんか“AI感”が出ることです。

  • スライドごとにフォーマットが微妙に違う。
  • フォントサイズが揃っていない。
  • 色使いが会社のトーンと少し違う。
  • 見出しや図表の雰囲気が、なんとなくバラバラに見える。

もちろん、資料で一番大事なのは中身です。これは間違いありません。AIでも、資料の中身についてはかなり高いクオリティを出せるようになっていると思います。

ただ、読み手からすると、見た瞬間に「あ、この資料、AIで作ったんだな」と感じてしまうと、中身に入る前に少し心理的なノイズが生まれる気がするんです。

せっかく良い内容が書かれていても、見た目の違和感によって、資料全体の信頼感が少し下がってしまう。これはけっこうもったいないですよね。

そこで今回考えたのが、AIに自由に資料を作らせるのではなく、会社のテンプレートにAIの出力を流し込むという仕組みです。

AI資料作成で気になるのは、中身よりも“AI感”かもしれない

AIは、ゼロから資料のたたき台を作るのが得意です。

たとえば、「このテーマで10枚のプレゼンを作って」とお願いすれば、構成、見出し、本文、場合によっては図表の案まで出してくれます。ここだけ見ると、もうかなり実務で使えるレベルになってきていると思います。

ただ、会社で使う資料となると、話は少し変わります。

会社の資料には、会社のフォーマットがあります。ロゴの位置、タイトルの場所、余白、フォント、ブランドカラー、ページ番号、コピーライト表記。こういう細かい要素が積み重なって、「ちゃんとした会社資料」に見えるわけです。

別に、見た目を派手にしたいわけではありません。

むしろ逆です。

読み手に余計な違和感を与えず、自然に中身へ入ってもらうために、フォーマットが整っていることが大事なんですよね。

資料のフォーマットがバラバラだと、読み手は無意識に「なんか雑だな」「急いで作ったのかな」「AIで作ったのかな」と感じてしまうかもしれません。

中身で勝負するためにも、見た目で損をしないこと。ここが、AI資料作成において意外と大事なポイントだと感じました。

解決策は、会社テンプレートに流し込むこと

今回のポイントは、AIに「会社のテンプレートっぽく作ってください」とお願いしたことではありません。

AIに「会社テンプレートに合わせて」と伝えても、それなりに近いものは出てきます。ただ、よく見ると違うんです。フォントが微妙に違う。余白が違う。色が違う。ロゴやページ番号の扱いも、完全には揃わない。

つまり、「それっぽい」資料にはなるけれど、「会社の正式なテンプレートに沿った資料」にはなりきらない。

そこで発想を変えました。

AIにデザインを任せるのではなく、会社のPowerPointテンプレートそのものをベースにして、そこにAIが考えた内容を流し込む形にしたんです。

具体的には、スライドマスター側で表紙、本文、セクション区切り、終了ページといった基本レイアウトを整えました。そして、本文スライドには「タイトル」「キーメッセージ」「本文エリア」のような入力場所をあらかじめ用意しました。

AIには、自由な場所にテキストボックスを置かせるのではなく、決められた場所に文字を入れてもらう。図表を作る場合も、会社のブランドカラーや指定された本文エリアの範囲内で作ってもらう。

AIにセンス良く作ってもらうのではなく、AIが迷わず従える型を先に作るこれが今回の一番大きな考え方でした。

実際に用意した、テンプレート・仕様書・作業フォルダ

では、具体的に何を用意したのか。

今回の仕組みでは、大きく分けて3つのものを作りました。

  1. 会社テンプレートをベースにしたPowerPointファイル
  2. AIに読ませる設計仕様書
  3. 作業用フォルダ

取り組みの全体像としては、テンプレート整備、ルール文書化、ローカルフォルダを起点にした作業基盤づくりを組み合わせた形です。

フォルダ構成は、イメージとしてはこんな感じです。

presentation-workflow/
├── 01_template/
│   └── company_brand_template.pptx
├── 02_rules/
│   └── presentation_creation_rules.md
├── 03_reference/
│   └── reference_materials/
├── 04_output/
│   └── generated_presentations/
└── 05_archive/
    └── past_outputs/

テンプレートファイルには、会社のロゴ、ページ番号、基本フォント、ブランドカラー、スライドマスター上のレイアウトを定義しました。

ここで大事なのは、AIが毎回スライドの見た目を作るのではなく、テンプレート側のレイアウトを継承する形にしたことです。

次に、設計仕様書です。

これは、AIに守ってほしいルールをまとめた文書です。

たとえば、どのテンプレートを使うのか、どのスライドレイアウトを使ってよいのか、タイトルや本文をどこに入れるのか、フォントや色を勝手に上書きしないこと、図表を配置してよい範囲、ブランドカラーの使い方、日付フォーマット、ファイル名の付け方などを書きました。

毎回チャットで「フォントはこれで、色はこれで、ロゴはこの位置で……」と説明するのは、正直しんどいです。しかも、少しでも説明が抜けると、AIは良かれと思って別のデザインに寄せてしまいます。

なので、AIにはまず設計仕様書を読んでもらい、そのうえで資料を作ってもらう形にしました。

ざっくり言うと、AIには次のようなことを認識させました。

  • 会社のブランドテンプレートを使って資料を作成すること
  • スライドマスター上のレイアウトを優先すること
  • タイトル、キーメッセージ、本文は指定された場所に入力すること
  • フォントサイズ、色、太字設定を勝手に変更しないこと
  • 図表は指定された本文エリア内に配置すること
  • グラフや図形の色はブランドカラーをベースにすること
  • ロゴ、ページ番号、コピーライトはテンプレート側から継承すること
  • 完成後は、指定の出力フォルダに保存すること

こうしておくと、AIは資料の中身づくりに集中できます。一方で、フォーマットやブランドルールはテンプレートと仕様書に従う形になります。

AIに「いい感じに作って」とお願いするのではなく、「この仕様書の範囲内で作ってください」と伝える。これが、かなり効きました。

AI活用は、自由度を上げるより制約を設計する方が効く

今回やってみて感じたのは、AI活用では「自由にやってもらうこと」だけが正解ではないということです。

むしろ、実務で使う場合には、AIの自由度をあえて狭めた方がうまくいく場面があります。

資料の構成案、メッセージ、図表のアイデアはAIに任せる。一方で、フォント、色、余白、ロゴ、ページ番号といった部分は、テンプレートとルールで固定する。

この役割分担ができると、AIはかなり頼れる相棒になります。

AIを使うというと、どうしても「どこまで自動化できるか」に目が行きがちです。でも実務では、「どこを自動化しないか」「どこを固定するか」を決めることも、同じくらい大事なんですよね。

そして、これはPowerPointだけの話ではないと思っています。

Wordの報告書、Excelの定型分析、議事録、提案書、メールテンプレート。形式がある程度決まっていて、中身だけが毎回変わる業務には、同じ考え方を応用できるはずです。

AIに仕事を任せる前に、AIが迷わず働ける現場を作る。

今回の取り組みを通じて、そんな視点の大切さを感じました。

AIを単なる回答マシンとして使うのではなく、現場の相棒として使いこなす。そのためには、プロンプトを書く力だけでなく、業務を分解して、型にして、再現できる仕組みにする力が必要なのかもしれません。

私自身も、今回の資料作成ワークフローを一つのきっかけに、AIと一緒に現場業務をもっと改善していきたいと思います。

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