こんにちは、メーカー勤務アメリカ駐在員のゆーちんです。
今日もちょっと、AIを使った業務改善について語らせてください。
最近、仕事の中でClaudeという生成AIを使う機会があります。文章を整理したり、コード作成を手伝ってもらったり、データ分析の考え方を壁打ちしたりできる、いわばバーチャル相棒のような存在です。
正直、使えば使うほど思うんです。
「あれ、これまで自分には難しいと思っていたことも、AIと一緒ならかなり前に進められるのでは?」と。
今回取り組んだのは、ある製造業の販売会社における、収益改善ダッシュボードの設計です。ざっくり言うと、代理店向け販売において、これまで見えづらかった商品別・顧客別の実質的な収益性を見える化する取り組みでした。
ただ、今回の記事で一番伝えたいのは、ダッシュボードの細かい作り方ではありません。
AIで作れるものが増えた今、本当に大事なのは「何を見える化するか」を考えることだと思ったんです。
AIで作れる時代になったからこそ、「何を作るか」が問われる

AIを使うと、プログラムを書くハードルはかなり下がります。
Pythonでデータを読み込む。複数の業務データを突合する。集計ロジックを考える。グラフやダッシュボードの構成を作る。
もちろん、最後は自分で確認する必要がありますが、ゼロから一人で悩むよりも、圧倒的に前に進めやすくなりました。
でも、ここで一つ気づいたことがあります。
AIがあるからといって、自動的に業務改善のテーマが見つかるわけではないんですよね。
「AIを使って何かしたい」だけでは、なかなか価値にはつながりません。大事なのは、その前にある問いです。
どの業務にムダがあるのか。どの情報が見えていないせいで、判断が遅れているのか。何が見えれば、次の打ち手を考えられるのか。
AI活用の出発点は、ツール選びではなく、現場の意思決定の詰まりを見つけることなんだと思います。
これ、けっこう大事なんですよね。
今回見える化したかったのは、「本当に儲かっているか」

今回のテーマは、代理店向け販売における収益性の見える化でした。
表面的な売上は、業務レポートを見れば分かります。どの商品がどれだけ売れたのか。どの顧客にどれだけ請求したのか。それ自体は、すでに数字として存在しています。
ただ、実際のビジネスでは、請求された売上だけを見ても本当の収益性は分かりません。
後から発生する値引き、リベート、販売支援費、案件ごとの価格調整。こういったものが複数のレポートに分かれて存在していると、見かけ上の売上と、実際に会社に残る収益の間にズレが生まれます。
つまり、「売れている商品」と「儲かっている商品」が同じとは限らないんです。
同じように、「売上の大きい顧客」と「利益に貢献している顧客」も、必ずしも一致しません。
ここが、今回見える化したかったポイントでした。
本当に知りたかったのは、売上の大きさではなく、商品別・顧客別に見たときの実質的な儲けの構造でした。
そのために、受注、請求、リベート、クレジットメモなど、バラバラに存在していた業務データを整理し、どの情報をどの粒度で見るべきかを考えていきました。
細かい分類ルールやデータ構造の話もたくさんありましたが、今回の本質はそこではありません。
これまで見えていなかった利益構造を、意思決定に使える形に変えること。それが、このダッシュボードの目的でした。
AIで思考スピードを加速し、仮説検証の回数を増やす

今回、Claudeにはかなり助けてもらいました。
データをどう読み込むか。複数のレポートをどう突合するか。どの項目をキーにすればよいか。どう分類すれば、後から分析しやすい形になるか。
こういったコード作成やデータ加工の部分でも、AIはかなり心強い存在でした。
でも、それ以上に大きかったのは、思考スピードが上がったことです。
たとえば、「このコストは商品別に配賦してよいのか?」「顧客単位でしか見られないものではないか?」「経営者が最初に見るべき画面は何か?」といった問いを、Claudeと壁打ちしながら整理していきました。
AIがすべての答えを持っているわけではありません。
業務の前提が正しいかどうかは、実際のデータや現場の理解で確認する必要があります。ここをAI任せにしてしまうと、危ないと思っています。
ただ、自分の考えを言葉にして投げると、構造化された形で返ってくる。そこに対して、「ここは違う」「この切り口は使える」「この前提はもう一度確認した方がいい」と考えを深められる。
AIを使うことで、実装のスピードだけでなく、仮説を立てて検証する回数そのものを増やせると感じました。
これは、自分にとってかなり大きな発見でした。
AI時代に価値が出る人は、「見える化するテーマ」を見つけられる人

今回の取り組みを通じて、改めて思ったことがあります。
AIを使えば、これまでより簡単にダッシュボードの原型を作れるようになりました。コードも書けます。集計もできます。グラフも作れます。
でも、だからこそ大事になるのは、「何を見えるようにするのか?」という問いです。
それが見えたら、誰のどんな判断が変わるのか。どんな打ち手を考えられるようになるのか。ここまで考えないと、ただのきれいな画面で終わってしまいます。
現場には、まだまだ見えていないものがたくさんあると思います。
在庫の滞留、値引きの効果、業務の手戻り、属人化している判断、月次集計にかかっている時間、顧客別の本当の収益性。
こういったものは、普段の業務の中では当たり前になりすぎていて、意外と見過ごされがちです。
でも、それが見えるようになると、次の一手を考えられるようになります。
AI時代に価値が出るのは、AIを使える人というより、AIで何を見える化すれば現場が変わるかを考えられる人なのかもしれません。
私自身も、まだまだ勉強中です。
ただ、今回の収益改善ダッシュボードの設計を通じて、AIは単なる作業効率化ツールではなく、現場の見えない構造をほどくための相棒になり得ると感じました。
これからも、AIを使って何かを作るだけで満足するのではなく、「それによって何が見えるようになるのか」「どんな意思決定が変わるのか」まで考えられる人材を目指していきたいと思います。
まずは、自分の目の前の業務で、「見えたら行動が変わるもの」は何か。
ここから考えてみるのが、AI時代の業務改善の第一歩なのかもしれません。


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