“心の中で相手をどう思っているのかが問題”
こんにちは、ゆーちんです!
今回は、アメリカに拠点をもち、世界25カ国に支部をもつ研究機関「アービンジャー・インスティチュート」によって書かれた一冊、『自分の小さな「箱」から脱出する方法』について、解説していきます。
ちなみに、この「アービンジャー・インスティチュート」は、世界のリーディングカンパニーのリーダーたちにマインドセットのあり方を伝授する「マインドセットのプロ中のプロ」で構成された組織です。
本書から一緒に最適なマインドのあり方、よい人間関係築く方法について、学んでいきましょう!
本記事で押さえていただきたいポイント
- 自分自身を欺いているときの状態
- 自分の感情に背く
- 相手を尊重すべき一人の人として見る
「箱」とは何なのか?
本の題名から分かる通り、本書は「箱」がメインテーマであり、その「箱」から脱出することを目指し、話は進んでいきます。
では、この「箱」とはいったい何なのでしょうか?
「箱」とは、一言でいうと自己欺瞞のことです。
自己欺瞞とは、私たちが「自分を欺く」という意味です。
私たちが自分自身を欺いているときの状態のことを「箱」の中にいると本書では表現しております。
「箱」の中にいるとき、私たちの現実的を見る目は歪められてしまいます。
透明な箱に入ると外がぼやけて見えるイメージでしょうか?
そして、人間は常に他の人に対して、「箱」の中にいるか、外にいるかのどっちかなのです。
相手が自分をどう感じているか?
皆さんは相手が何をもとに自分のことを感じとっているとお考えでしょうか?
自分が相手に対して、どう振舞っているかでしょうか?
それともどんな言い方で何を言ったかでしょうか?
この本では、こちらが外見上何をしているかではなく、心の中で相手をどう思っているかを見抜き、感じ取っていると説明しております。
つまり、相手は常に自分の本音、心の中で思っている事を見抜いているのです。
では、こちらが相手に対して、抱く感情はいったい何によって決まるのでしょうか?
それはずばり、こちらが相手に対して、「箱」の中にいるか、外にいるかです。
例え、同じ行動をしていても、「箱」の中にいるのと外にいるのとで違った結果を招きます。
なぜなら人は相手の行動ではなく、相手が自分に対して「箱」の中にいるか、外にいるかに対して反応するから。
行動が問題ではないのです。
心の中で相手をどう思っているのかが問題なのです。
なぜ箱の入ってしまうのか?
では、我々はいったいなぜ箱の中に入ってしまうのでしょうか?
本書では人が「箱」の中に入ってしまう理由を「自分への裏切り」を行うからと結論づけています。
ここでいう「自分への裏切り」とはいったい何なのでしょうか?
「自分への裏切り」とは自分が他の人のためにすべきと感じたことに背く行動を選択することを指します。
例えば、皆さんが電車の中で座っているとします。
そして、近くに年寄りのおばあちゃんがやってきて、座るところがないために立っていたとします。
それに気づいた皆さんは「席を譲るべき」だと思ったにも関わらず、譲らなかった。
これが「自分への裏切り」です。
ではなぜ、「自分への裏切り」をすると、箱の中に入ってしまうのでしょうか?
仕組みはこうです。
人はいったん自分の感情に背くと、自分への裏切りを正当化する視点から周りの世界を見るようになります。
先ほどの例でいうと、席を譲らなかった自分を正当化しようと、「自分はこんなにも疲れているんだ」などと考えるようになりますよね。
そして、自分を正当化するためには、他人が間違っていなければなりません。
「自分より席が近いあの人が譲るべきではないか」、「そもそも何でこんなに疲れている時におばあちゃんが電車に乗ってくるんだ」と考えるようになります。
そうです、自分への裏切りをすると、自分を正当化するため、他人に非があると考えるようになり、現実を見る目が歪められるのです。
言うまでもなく、「箱」に入っている状態です。
したがって、人は自分の感情に背いた時に「箱」に入ると言えるのです。
組織における成功は「箱」の中にいるか外にいるかで決まる
「箱」の中にいるか、外にいるかは組織(ここでは企業)における成功とどう関係しているのでしょうか?
組織にとっての成功とは、業績をあげることです。
そのため、組織に属する私たちは業績をあげるために、成果にこだわって仕事に励まなくてはなりません。
しかし、「箱」の中にいる人が一番大事にしていることは何でしょうか?
それは紛れもなく、自分です。
皆さんは会社の中の誰かが成功したとき、自分自身が成功した時のように喜べますでしょうか?
いつも憎いと思っている同僚が成功した時と失敗した時、どっちが嬉しいでしょうか?
このように、「箱」の中にいると一番大事にしている自分に気持ちが向いてしまい、成果に集中できないのです。
だから成果をあげるためには「箱」の外にいることが大事と言えるのです。
それだけではありません。
自分が「箱」の中にいるということは、他人も「箱」に入れてしまうことに繋がります。
「箱」の中に入っている相手に話しかけられると、皆さんはどう思いますか?
相手は自分を正当化しようとこっちを責めてくるのですよ。
そりゃ、自分自身も「箱」に入って、自分を正当化しようと相手を責めてしまいますよね。
このように「箱」に入った人々同士は、お互いに責め合い、足の引っ張り合いをします。
そして、組織にとって大事な成果よりも、自分を正当化することが一番大事になってしまうのです。
様々な人間関係の問題のたった一つの原因
世の中には様々な人間関係の問題がありますが、この本では全ての人間関係の問題はたった一つの原因だといいます。
そのたった一つの原因さえ、解決できれば、人間関係の様々な問題は解決できるというのです。
何かお分かりでしょうか?
そうです、たった一つの原因とは「自分の感情に背くこと」です。
電車の例に戻りましょう。
年寄りのおばあちゃんが近くにやってきた時、皆さんには①自分の感情に従って席を譲る、②自分の感情に背いて席を譲らないという2つの選択肢がありました。
そして、②を選択し、自分の感情に背いたことにより、自分の正当化する必要が出てきて、他人を責める必要が出てきました。
①を選択した場合は、どうだったでしょう?
自分の感情に従い、席をおばあちゃんに譲って終わりです。
この時、自分を正当化する必要はありましたでしょうか?
他人を責める必要はありましたでしょうか?
そうです、自分の感情に背かなければ、問題は起きていなかったのです。
自分の感情に背くという問題さえ、解決できれば、人間関係の様々な問題は解決できるのです。
「箱」から出るにはどうすればいいのか?
ここまで読み進めた方は、過去を振り返りながら、自分が「箱」に入っていた場面を多々思い浮かべたのではないでしょうか?
そして、「箱」から出るにはどうすればいいのかという最後の疑問が思い浮かんでいるのではないでしょうか?
そのような読者の心理をすべて読んでいるかのように本書は進んでいきます。
どうすれば「箱」から出られるか?という質問には①「どうすれば「箱」から出られるか?」と②「どうすれば一度出た「箱」の外に居続けられるか?」という2つの観点があります。
①「どうすれば「箱」から出られるか?」
ここまで読み進め、誰かに対して「箱」の外に出たいと心から願った読者の方、おめでとうございます。
あなたは既にその相手に対して、「箱」の外に出ています。
なぜなら、相手を尊重すべき1人の人間として、見ることができてはじめて、外に出たいと感じることができ、相手に対して、そういう感情を抱けるということは既に「箱」の外に出ているということだからです。
と言われても、何をしたから出れたんだ…?って不思議ですよね。。
この本では、「そもそも「箱」から出るためにどう行動すれば良いか?」という質問は間違っていると指摘します。
どう行動しても自分が「箱」の中に居る限りは、「箱」の中で行動しているだけであって、「箱」の外に出ることにはならないからです。
行動は「箱」の外でしなければ意味はありません。
「箱」の外に出るには、もっと別の何かが必要なのです。
それは、「箱」の外側にあるものに抵抗するのをやめることです。
つまり、相手に逆らうのをやめた瞬間に自分が変わりはじめ、自分を正当化しようとする考えや感情から解放されるのです。
相手を尊重すべき一人の人として見始めた時、はじめて「箱」の外に出る事ができるのです。
「箱」から出る方法は自分にあるのではなく、目の前にあります。
なぜなら抵抗している相手は目の前なのですから。
②どうすれば一度出た「箱」の外に居続けられるか?
次にどうすれば、「箱」の外に居続けられるかです。
その答えはこれまで見てきた通り、「箱」の外に出ているときに、自分が他人に対してなすべきだと感じる、その感覚を尊重することしかありません。
ずっと他人のために何かをし続けなければならないのか?と思った方、考えてみましょう。
他の人に対してすべきと思ったことをするよりも、「箱」の中で自分を正しい事を証明してみせることの方がよっぽど大変ではありませんか?
実は、「箱」の中にいる時の方がはるかにしなければならないことが多く、負担が大きいものなのです。
終わりに
今回の本は、私がこれまで読んできた本のBest3ぐらいには入る本当にオススメの本なので、熱が入ってしまい少々解説が長くなってしまいました。。
ここまで読み進めて下さった方、本当にありがとうございます。
この本は、ある企業で問題を抱える(「箱」の中にいる)主人公とそのことに気付かせてあげる役員の対話形式で進んでいきます。
主人公が我われ読者の疑問点をしっかり代弁して質問してくれるので、読み終わった時には全て解消して、スッキリした気持ちになれます。
今回、私の解説では全てをお伝え出来ているわけではないので、まだモヤモヤされている方がいらっしゃるかも知れません。
そんな方は是非一度、本書を手に取って読んでいただければと思います。
私もこの記事を書きあげるために1年ぶりぐらいに読み直しましたが、何度読んでも面白い名作です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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