“「妄想」を駆動力にする”
こんにちは、ゆーちんです!
今回は、BIOTOPE代表の佐宗邦威さんが書かれた一冊『VISION DRIVEN』について、解説していきます。
佐宗さんは、東大卒業→イリノイ工科大修了→P&G入社→Sony入社→BIOTOPE起業というスーパーな経歴の持ち主であり、イリノイ工科大学でデザインを専攻していたことから、デザイン思考のプロ中のプロとも言える方であります。
そんな佐宗さんがデザイン思考ではなく、ビジョン思考について書いた1冊、『VISION DRIVEN』を通じて、ビジョン思考とは何なのか?、なぜ必要なのか?について一緒に考えていきましょう!
本書で押さえておきたいポイント
- 妄想→知覚→組替→表現
- 日々の生活に余白をつくる
- 妄想を駆動力に世界を変える
ビジョン思考とは?
今回も結論からいきましょう。
ビジョン思考とは、ずばり、直感と論理をつなぐ思考法のことです。
もう少し柔らかく言うと、個人的な関心ごとからスタートして創造性をドライブさせる思考方法のことです。
柔らかくいっても、まだあんまりイメージ湧かないですよね。。
ビジョン思考については、他の思考法との対比で見ていくとよりわかりやすいです。
これまで思考の領域では、次の3つのタイプが存在していました。
- カイゼン思考
計画→実行→評価→改善からなるPDCAサイクルを何度も回すことで、仕事のスピードを早めたり、効率を高めることを目指す思考法
しかし、このカイゼン思考は、このご時世、2つの危機に晒されています。
①AIやロボティクスなども得意としている領域であり、代替が進むと予想される。
②カイゼン思考では、先が見通せないほど、世の中の先行きが不透明になっている。 - 戦略思考
論理に基づき勝利を追い求める思考法
カイゼン思考が危機に晒されていることを背景に、論理に基づいて勝利を掴むことを目指す人々が出てきます。
こういう人たちは、データを収集し、データドリブンで最適なポジショニングを見極め、資本投下の「選択と集中」を行います。
MECEなどのフレームワークを用いた考え方をするといったイメージですね。
しかし、戦略思考にも陥りがちな罠があります。
①データ病に陥ってしまう。
逆に、正確なデータなしには何も決められない。
②個人が疲弊してしまう。
絶えず、競争相手とのシェアの奪い合いを行うので、大きなプレッシャーやストレスに晒され、疲弊する。 - デザイン思考
デザイナーが制作物を生み出すときに行なっている思考プロセスを抽象化し、ビジネスの世界で誰でも利用できる形に落とし込んだもの
戦略思考の論理一辺倒に疲弊した人たちが感性の重要性に気づき、このステージにやってきます。
デザイン思考のプロセスは、①手を動かして考える、②五感を活用して統合する、③生活者の課題をみんなで解決するから成ります。
ここでは、3つのプロセスについて、詳しくは述べません。
デザイン思考は、チーム・組織が共通して抱えている同じ1つの課題を解決していく際に非常に心強いアプローチとなります。
しかし、みんなで考えていく必要があるが故に、どうしても他人モードに陥ってしまうことが課題となります。
アウトプットに自分らしさが失われてしまうのです。
そこで、登場するのが、第4の思考法、ビジョン思考です。
ビジョン思考では、他人の目を気にせずに自分モードに没頭することを目指します。
繰り返しになりますが、ビジョン思考とは、個人的な関心ごと(妄想)を駆動力にする思考法なのです。
ビジョン思考のプロセス
上記で見てきたように、ビジョン思考では、自分モードで考えていくことを目指します。
では、どのようにビジョン思考を実践していけばいいのでしょう?
ビジョン思考のプロセスについて見ていきましょう。
ビジョン思考は、「妄想→知覚→組替→表現」の4ステップから成ります。
- 妄想する
自分の内面から湧き出る「好き」や「関心」といった妄想を形にしていくステップ
このステップでは、妄想を解放し、大きな目標(Big Idea)を描くことが求められます。
例えば、皆さんが仕事において、成果を10%上げることを求められたとします。
多くの方は、今より努力量や残業時間を増やすなどといったことを考えるのではないかと思います。
10%程であれば、皆さんに求められるのは、「頑張り」といった類のものです。
しかし、10倍の成果を求められた場合はどうでしょうか?
努力でなんとかなりそうな世界ではありませんね。
10倍の成果のためには、根本的に違うやり方を考えていく必要があります。
このように目標を大きく描き、従来の常識の枠組みから外れた大胆な考え方をとっていくアプローチをムーンショットと言います。
ムーンショットという名前は、1961年にケネディ大統領が「今後10年以内に、人間を月に着陸させる」という無謀なビジョンを掲げ、実際にやってのけたというストーリーからきています。
ケネディ大統領の実現可能性を度外視した妄想が、アメリカの宇宙開発を一気に推し進め、また、その過程で様々な技術が生まれることに繋がったのです。
このように妄想のステップでは、妄想を解放し、大きな目標(Big Idea)を描くことが求められます。 - 知覚する
自分の奥底から取り出したビジョンを単なる妄想に留めず、現実を動かすアイデアへと洗練していくステップ
このステップでは、思考が他者と同一化しないよう、五感を使ってありのままに外界を感じ取り、その中から固有の意味を作り出すセンスメイキングが求められます。
センスメイキングの3ステップ
①感知(ありのままに観る)
五感全体を使って物事をよく感じ、ありのままに観る
②解釈(インプットを自分なりのフレームにまとめる)
インプットを自分なりのフレームにまとめる
③意味づけ(まとめあげた考えに意味を与える)
イメージ脳から言語脳げと移行し、考えに意味を与える
テクノロジーの進歩により、我々は自分好みのニュース、商品、広告など、個人に最適化された情報を入手するようになりました。
これは我々に利便性を向上をもたらせる一方、誰かにカスタマイズされた情報しか入手しなくなるので、思考が他者と同一化する傾向があります。
こういう時代だからこそ、五感を使ってありのままに外界を感じ取り、意味づけをするセンスメイキングが求められているのです。 - 組替する
個人レベルの着想に客観性を付与し、よりアイデアらしく磨き上げていくステップ
この組替のプロセスでは、妄想をできるだけ細かく分解し、別の組み合わせで再構築していくことが求められます。 - 表現する
ここまで磨き上げてきたアイデアを実際に手を動かしながら、自分らしい表現に落とし込んでいくステップ
ここでは、頭で考えるよりも、どんどん手を動かして、ビジョンをプロトタイプの形にアウトプット(具体化)していくことが求められます。
そして、アウトプットに対してフィードバックを行い、ブラッシュアップするといったことを繰り返します(イタレーション)。
注意しなければならないのは、④で終わりではないという点です。
ビジョン思考の①〜④のプロセスは、④が終われば①と円環にデザインされている必要があります。
ビジョン思考を身につける条件
本書では、上記①〜④のそれぞれのステップについて、より具体的な実践方法を提案してくれています。
本記事では、ご紹介しませんが、多くのページを割いて、簡単に実践できるワークを用意してくれています。
私が実際に実生活に取り入れているワークもありますので、気になる方はぜひ本書を手に取っていただければと思います。
しかし、筆者はビジョン思考を身につける上での条件があると言います。
我々はまず、この条件について、理解しておかなければなりません。
その条件とは、余白をつくることです。
余白とは一体何なのでしょうか?
余白と言うのは、まっさらなノートのような「空間的余白」とそれを埋めるための「時間的余白」のことを指します。
時間・空間上に広がるキャンバスがビジョン思考を身につける上で欠かせないのです。
皆さん、日々の生活において、余白は作れていますか?
毎日、忙しく過ごしており、一人の時間、自由に使える時間がない人も多いのではないでしょうか?
そういう方は、人為的にでも時間的余白をつくることから始めましょう。
朝の○〜○時までは、誰にも邪魔されない自分の時間など、決めてしまうのも良いかもしれません。
それができたら、まっさらのノートとペンを用意し、ワークを実践していきましょう。
ちなみに筆者は、タブレットなどのテクノロジーではなく、より手触り感のある紙とペンをおすすめしています。
なぜビジョン思考が求められるのか?
なぜビジョン思考が求められるのか?
ここまでの文章の中にも所々散りばめられていましたが、整理しておきましょう。
ビジョン思考が求められる理由は、今の時代、変化に対応し続けることが難しくなってきているからです。
昨今、「VUCAの時代」が到来したと言われております。
皆さんも一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
VUCAは「Volatility(変動性)」「Uncertainty(不確実性)」「Complexity(複雑性)」「Ambiguity(曖昧性)」の頭文字から成り、現代の経営環境や個人のキャリアを取り巻く環境が全く予測不能となっていることを表した造語です。
VUCAの時代では、スマホ、SNSの普及など様々なテクノロジーの普及により、変化のスピードや幅がこれまでと比べものにならないぐらい大きくなっています。
これらの変化にいちいち大真面目に反応し続けるのは実質不可能になってきています。
変化に対応した商品を開発した頃には、すでに市場のニーズが変わっている、そんな事態に陥ってしまうのがオチです。
重要なのは、変化に対応し続けることではなく、むしろ、変化に囚われず、受け流していく力です。
内面から湧き出たビジョンは、そう簡単には目の前の変化に流されません。
時価総額ランキングの上位にいるAMAZONですら、黒字転換するのに10年かかりました。
しかし、赤字が続いた10年間において、創業者ジェフ・ベゾス氏のビジョンを駆動力にしてきたので、長期的な取り組みとして、耐え続けることができ、その後急成長することとなりました。
この変化の激しい時代においてこそ、変化の波に流されないための「錨」の役割を果たす「妄想」を駆動力にしていくことが求められているのです。
最後に
いかがだったでしょうか?
正直、本書は解説するのにかなり苦戦しました。。
というのも、本書はビジョン思考の考え方から実践まで、非常に重要なエッセンスがたくさん詰まっており、全てを書くと盛りもりになってしまうからです。
なので、本記事では、ビジョン思考の考え方を中心に記載することにし、実践についてはかなり省略させていただきました。
それでも盛り盛りですが笑笑。
本書では、かなり丁寧に実践方法が記載してありますので、ぜひ手に取ってお読みいただきたいです。
実際に手を動かさなかれば、ビジョン思考を身につけることはできません。
私自身、本書のワークからモーニング・ジャーナリングを実際の生活に取り入れてみました。
かれこれ、初めてから数ヶ月が経っており、毎朝欠かさず感情のアウトプットをiPad(筆者は紙がおすすめなのですが笑笑)にしております。
また別途、ブログの生活コーナーでこのモーニング・ジャーナルを実践してみての感想、効果をお伝えできればと思います。
最後まで、お読みいただきありがとうございました。
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