こんにちは、ゆーちんです。
今回は、久しぶりに小説を読みましたので、その感想を記事にしたいと思います。
小説を読むのは、約1年ぶりですね
読んだのは、逢坂冬馬氏によって書かれた一冊『同志少女よ、敵を撃て』です。
なんとこちら、逢坂氏のデビュー作でありながら、第11回アガサ・クリスティー賞の大賞も受賞しています。
しかも、史上初、全選考委員が5点満点をつけたそう
すごいですね
今回は、ざっとあらすじを振り返りながら、私の解釈や感想について、述べていきたいと思います。
ネタバレが嫌な人は、一度お読みになってから戻ってこられることをおすすめします。
何についての小説なのか?
『同志少女よ、敵を撃て』
題名を聞いただけでは、何の小説かが分からないかもしれません。
実は、本書は第二次世界大戦下における独ソ戦を題材にした戦争の小説です。
非常に激しい戦いが繰り広げられたドイツ(ナチス)とソ連の間の戦争は、1941年に開戦しました。
小説の主人公は、その独ソ戦において、
ソ連軍の女性スナイパーとして従軍することになる少女、「セラフィマ」。
セラフィマは狙撃手(スナイパー)として従軍する前、
ドイツ軍に住んでいた村を襲撃され、家族を含む村の人々を惨殺されます。
でもセラフィマは、駆けつけたソ連軍の女性兵士「イリーナ」に救出され、村で唯一の生き残りとなります。
一瞬にして、身寄りを喪い、絶望に打ちひしがれるセラフィマ。
そんなセラフィマに対し、イリーナは、
追い討ちをかけるようにセラフィマの母の遺体を焼き払い、究極の選択を投げかけます。
「お前は戦いたいか?死にたいか?」
そう問われたセラフィマは、
- 敵(母を殺したドイツ兵)
- 母の遺体を焼き払ったイリーナ
への復讐を誓い、戦うことを決意します。
そして、イリーナに一流狙撃手となるための術を教わることになるのです。
ん、イリーナへの復讐?
セラフィマは、母親の遺体を焼き払い、人殺し(狙撃手)に育て上げたイリーナに恨みを持っていたんだ
何のために戦うのか?
本小説の重要なテーマの一つが「何のために戦うのか?」です。
この問いは、セラフィマをはじめ、同じくイリーナに狙撃手となるための教育を受ける少女たちに繰り返し、問われます。
狙撃訓練学校では、セラフィマと似た境遇の少女たちが集められ、イリーナの教育を受けていた
では、何のために戦うのか?
回答は、少女たちによってさまざまです。
- 子どもたちを守るため
- 自由を得るため
そして、セラフィマの出した答えは、「女性を守るため」でした。
ドイツ兵に殺された母親や村の女性たち。
その人たちが元に戻ることはないけど、二度と同じことが起きないように女性は自分が守る。
それがセラフィマの戦う理由だったのです。
なぜ戦う理由が重要なのか?
イリーナは「何のために戦うのか?」について、少女たちに厳しく問いかけました。
でも、少女たちが最終的に出した答えには、特に口を挟むことはありませんでした。
このことから、おそらくイリーナは、
答えを持っていることそのものが重要だ、と考えていたのだと思います。
つまり、言い換えると、
信念を持っていることを重要だと考えていた、ということです。
というのも、戦争は簡単に人を変えるからです。
あまりにも、異常な光景を日常的に目にするため、
何が正しくて、何が間違っているのかの感覚が狂ってきます。
実戦経験のあったイリーナは、そうした環境下においても、
自身の拠り所となる信念を持っておくことで、自分を見失わずに済むことを理解していたんだろうと思います。
そして、訓練中に「なぜ戦うのか?」を深く考えてきた少女たちは、
実際の戦場においても、自身の信念に基づいて行動することになります。
敵は誰なのか?
もう一つの重要なテーマは、『同志少女よ、敵を撃て』というタイトルにもある、
「敵」は誰なのか?、という問いです。
母を殺した憎き敵(ドイツ兵)への復讐心からはじまった、セラフィマの戦い。
でも、戦う理由はその復讐心から昇華され、
「女性を守るため」という信念に変わりました。
そして、セラフィマは女性の敵となる、相手軍(ドイツ兵)を撃つのです。
では、敵はドイツ兵なのでは?
戦争の複雑さがこの問いの答えを難しくするのです。。
でも、戦争という異常な環境下。
ある日、セラフィマは、女性に暴行を加える自軍(ソ連軍)の兵士を目撃します。
- 女性を守るために敵を撃つと決めた自分
- 守る対象の女性に暴行を加える自軍の兵士
果たして、この自軍の兵士は敵なのでしょうか?
撃つべきなのでしょうか?
こんな難しい状況に直面して、葛藤するセラフィマの様子には、読んでいて胸を打つものがあります。
ロシア・ウクライナ情勢
2月13日、本記事の執筆時点、
ロシアとウクライナの情勢がかなり緊迫しています。
ニュースにおいて、現場の兵士の様子が映ることがありますが、
本小説を読んでから今まで以上に一人一人の顔が見えるようになりました。
そして、兵士の表情からして、
誰一人として、戦争を望んでいないように感じます。
私としても、これ以上、事態が悪化しないことを願うばかりです。
本小説を読んだきっかけも、ロシア・ウクライナ情勢の悪化を受け、歴史的背景を知りたいと思ったから。
テレビ東京のキャスター豊島さんが、
ロシア・ウクライナ情勢を解説する動画の中で参考図書として、本小説をあげられていました。
豊島さんの解説動画自体も、現在のロシア・ウクライナ情勢を理解する上で非常に有益です。
豊島さんの解説は本当にわかりやすい
お時間がある方は、ぜひ見ていただくことをおすすめします。
最後に
いかがだったでしょうか?
戦争という重たいテーマを取り上げての記事でしたので、少し疲れたかもしれません。
でも、過去に起きた悲劇から学ぶことはたくさんあります。
同じ過ちを決して繰り返してはなりません。
当事者たちの心の内側に迫ることで、
同じ過ちを絶対に繰り返さない、という思いは一層強くなるように思います。
本記事で、本小説『同志少女よ、敵を撃て』に少しでも興味を持たれた方は、ぜひ一度手に取って、お読みいただければと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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